もし、みなさんの中でバングラデシュに行かれる方がいたら、一番印象に残る事は何だと思いますか?
慣れていない方にとっては、やはり「物乞い」が大きなインパクトかと思われます。
私は、学生時代に中国で過ごしていたので、多少の物乞いにはある程度免疫がありますが、例えば初めて海外を訪れる方、はたまたどちらかというと先進諸国を旅行されてきた方にとっては衝撃の光景かもしれません。
街に出ては「バクシーシ(喜捨)を下さい」と様々な人が寄ってきます。
とくにつらい光景なのが、その中にはたくさんの子供、そして身体に障害を持たれている方がとても多いと言う事。
彼らは自分の手を口に持っていき「食べるものがないです」と表現してきます。
この「物乞い」には身体欠損者がとても多いように思います。
1億5000万ほどというバングラデシュの人口は日本よりも多いのですが、その中での身体障害者との比率を考えると、あきらかに多い。
これはどんな違いがあるのか、すこし調べてみた事があるのですが、やはり日本との違いはその環境にあるように思えます。
・ポリオなどの菌のまん延など衛生面の不備
・低所得者は病院にもいけない
・近親婚が多い
こういったことから、目立って身体欠損者が多いように思えます。
私が見た中でも、「四肢が無い少女」や「盲目の老人」など多かったですが、さすがに衝撃だったのが「口以外、顔のほとんどの部分がまったく無い人」でしょう。
本当に気の毒に思います。
しかし可哀そうだ、と思うのですがその一方で感じるのが中国などの「物乞い」と、バングラデシュをはじめとするイスラム諸国の物乞いは、少し違う部分もあると言う事です。
イスラム社会では「バクシーシ(喜捨)」を行う事も、大切な教義の一つ。
これを行う事で、宗教的に「徳」をつめるわけです。
宗教的にめでたい時には、進んで「バクシーシ」を渡していますし、そういう日はモスク(教会)の周りも「物乞い」があふれます。
感謝の気持ちを表す人もいますが、たいがいはお金をもらったら、感謝の言葉も述べるわけでなく「すっ」といなくなります。
その拍子抜けさに、あげるほうも何かしら「ちょっとは感謝してくれても」と思う事もありますが、これもイスラム社会だからかもしれません。
物乞いの中には「あなたにバクシーシ(喜捨)渡す機会=徳をつむ機会を与えてあげたのよ」という気持ちを持っているものもいます。
これが、彼らの自立を阻害する側面もあると思います。
イスラム教義に触れてみると、個人的には非常に優秀な宗教だと感じています。
しかしこういう負の側面もある事は、イスラム圏外の人も理解しなければいけないのでしょう。