TPP交渉に参加の是非が討論されています。
TPP交渉参加国に日本を含めると、交渉参加国のGDP規模比率で言うと「アメリカ1ヶ国で70%!!日本で20%強」のこり8ヶ国で10%というほとんどがアメリカのための制度なのを気づいていますでしょうか?
「環太平洋」と銘打っていますが、そのほとんどがアメリカの為のものなのは明らかです。
関税が自動車やテレビの輸出の障壁となり先にアメリカとの関税撤廃した韓国に勝てないと言いますが、アメリカの自動車の関税は2,5%、テレビの関税は5%です。
しかもそういった分野の6割~8割の工場はすでにアメリカにあり、関税の撤廃の効果もない部分が多いのです。
この空前の円高の中、このすでに少ない関税を撤廃したところで輸出が増えていくでしょうか?
先日、農水省と経産省のTPP参加による経済試算が大きく異なることを受けた内閣府のまとめた経済試算は「10年間の累積で2,7兆円の増加」と出しました。
大きく見えますが、日本のGDPは530兆円ほど。増加率は「0,o54%ほど」しかありません。
それでも関税撤廃で日本の工業製品がアメリカで展開できるかというと、アメリカは長引く不況下で「輸出倍増計画」を打ち出しています。
輸入を控え、輸出を増大させる事を明言しています。
ではアメリカはどこを狙うのか? 先ほどのGDP比率で明らかですが「日本の市場を取る!」という事です。
TPP推進論者はアメリカと韓国とのFTA協定を受けて「韓国に後れをとってはまずい」と言いますが、韓国はこの結果どうなったのか?
韓国は日本と同じで「現地生産」をしているので、関税撤廃にあまり意味がなかった。
では何を失ったか?
・コメの自由化は阻止しましたが、あとは自由化。
・農協・漁協の共済・郵便局の保険サービスは3年以内に解体。アメリカの保険会社が進出可能になる。
・自動車の排ガス規制、安全基準、自動車の税制はアメリカの優位になるよう変更させられるようになる
・知的財産権制度はアメリカの要求を丸飲み。
・韓国政府が決定した薬価が「安すぎる」とアメリカの製薬会社が不服を申し立てたら、韓国政府に見直しをすることができる。
・放送法の外資規制は緩和
もうすでにアメリカは韓国に対して行った要求を日本に行っています。
これは韓国とアメリカの2国間の協定なので、今回のTTPの多国間が絡まってくると違った見方もあるかもしれません。
しかしこの多国間での協定の中で、このようなアメリカ一人勝ち、日本の一人負けの状況ができるのか?
このTPP多国間の中で「工業製品を輸出して農業が弱い国は日本のみ」で「ほかの国は農産物やエネルギー資源の輸出国」であるという事です。
しかも日本のマスコミはこぞって「不利益をこうむるのは農業だけ」のような喧伝をしていますが、このTPPは農業を含め「21分野」での交渉になります。
農業だけがフューチャーされていますが、アメリカの狙いは「日本の保険・金融」と言われています。
日本政府の見解は「まだこれが交渉にあがるかも分からない」と言いますが、もちろん日本が交渉のテーブルについていないので、この話題が現在の参加表明国で上がらないのは当然です。
今の議論はTPPに参加・不参加の前段階の「交渉に参加するか・しないか」という議論です。
「とりあえず議論に参加しないと何も意見が言えないうちに決まってしまう」「話の内容が不服なら出れば良い」というのが賛成派の主張ですが、現在の外交の常識では「交渉に参加したら、形式的には出ることはできても、実際は難しい」と玄葉外務大臣自身も言っています。
これまでの弱腰外交の日本が「交渉に参加しますが、やっぱりやめます」なんて事は言えないのは歴史的からみても明らかです。
まだ何も政府の意思決定が見えない、国民にも知らされてない状況で交渉に入るのは明らかに危ないです。
この議論の決着が「オバマ大統領の出身ハワイでアメリカ議長国で行われる11月10日」がデッドラインのような雰囲気ですが、まだ国内の議論が未成熟な状態で決めてしまうのでしょうか?
ではなぜ政府が焦ってTPP参加に前のめりなのか?
日本はアメリカとの普天間問題の事もあり、来年の大統領選を見据えて支持率低迷にあえぐオバマ大統領に「せめてものお土産を持たせたい」という気持ちが先に立ってしまっているような感じです。
韓国との2国間の協定により、オバマ大統領は一般教書演説で「アメリカの雇用が7万人増えた」と言いましたが、これは「韓国の雇用が7万人奪われた」という事です。
実は上記の意見は京都大学の中野剛志准教授のフジテレビ「とくダネ」内の意見です。
この解説の態度があまりに常軌を逸した怒りの表現だったことが話題に上がっていたので見てみたら、たしかに言葉尻はとても冷静を書いていましたが、解説の内容は至極まともな意見でとても分かりやすかったので、文字に起こしてみました。
大手新聞各紙とは違った意見だと思います。
しかし意外と的を得ていると感じています。