アメリカのトランプ大統領が就任後、「大統領令」を連発しています。
「イスラム教国からの来訪者の制限」や「メキシコとの壁」「日本・韓国などの米軍駐留経費増額要請」など選挙中には様々な公約を掲げてきましたが、評論家の想像以上に「有言実行」となっている様子です。
しかしアメリカのメディアも、現在「反トランプ」になっているので、報道される情報が「トランプ大統領の本当の意図」を的確に表しているものではない可能性、という事も頭に入れておかなくてはいけません。
さて、そのトランプ大統領の「大統領令」を見て分かるように、「合衆国元首」であり「行政執行最高責任者」であるのがアメリカの大統領の発言はとても大きいものであります。
他の共和国では「元首である大統領」「行政執行責任者である首相」など分かれている事も多いですが、アメリカ大統領はその二つを兼務しています。
強大な権力のように見えます。
その点、日本の首相は「行政(政府)の代表」であり、「三権分立の中の一機関の長」であり、同列であるところに「衆参議院議長」「最高裁判所長官」をもって「三権の長」としています。
現在、日本では「元首」というのを明確にしていませんが、外交使節団の信任状は「天皇」に奉呈され、「国賓」として迎えられるのは「天皇」であり、諸外国は「天皇=日本国元首」という扱いをしているのが現実です。
よく「天皇制廃止」という言葉がでる時がありますが、この「三権の長」という部分が引っかかるところであり、「総理大臣が決して三権の最高位」ではなく、「天皇廃止した場合、誰が元首になるのか?」が議論になるところであり、「天皇制廃止論」はなかなか先に進まないでしょう。
そうなればなるほど、「アメリカ大統領の権力>日本国総理大臣の権力」のように見えます。
しかし実際のところは真逆。
「アメリカ大統領の権力<日本国総理大臣の権力」なのが現実なのです。
アメリカは「三権分立」が明確に規定されており、トランプ大統領の「大統領令」に関して「連邦最高裁判所が違憲判断」を出したり、「連邦議会が反対する法律を作ったりすること」で対抗することがあります。
もちろんアメリカ大統領は「一般教書演説」などでアメリカ議会を訪れ、「今年はこんな計画でいくから、それに呼応した法律を作ってほしい」という「呼びかけ」はできますが、強制はできません。
「大統領 VS 連邦議会」という構図はいつも起こっています。
一見、大統領より権力が弱そうな「総理大臣」
サミットなど各国首脳が集まる写真撮影では「元首」が中心にくる慣例があり、いつも「はじっこに追いやられる」という印象があります。
しかし忘れていけないのは「総理大臣は議会が選出する」という事実です。
という事は「三権」のうちの「行政と立法」が実は日本では「一体」なのです。
日本では過去に例外もありましたが、そのほとんどは「最大与党の長」が総理大臣に選出されてきました。
そうなると、それこそ思う存分に権力をふるうことができるのが「日本国総理大臣」です。
なんといっても「反対勢力」がありません。
もちろん民主主義である以上「少数野党の声」というのは聞かなければなりません。
しかし現実的には「法案を通す事」はアメリカ大統領より容易なのが「日本国総理大臣」です。
また「総理大臣」というポストはまた巧妙なところで、「日本国行政府の長」でありますが、政府の方針は「全会一致の閣議」を経ないといけません。
「閣議決定」とは「全ての国務大臣の賛成署名」がないと決定できません。
「総理大臣はその一つのポスト」なだけですが、ここでも忘れてはいけない「全ての国務大臣は総理大臣より指名される」という事です。
自分を指名してくれた首相に反対するわけにはいかず、閣議決定に反したい国務大臣は「自ずと国務大臣辞任」という道を取らざるを得ません。
こう見てもわかるように、「日本国総理大臣」というのは、表面上は決して強いポストには見えませんが、実質上は「アメリカ大統領より強い」というのが本当です。