メジャーリーグでの選手契約年俸で史上最高額の年額約3400万ドルの選手が出ました。
一昔前は「100万ドルの夜景」というのが、素晴らしい夜景の代名詞だったのですが、今やその34倍です。
しかも年俸約3400万ドルの6年契約ですから正確には2億650万ドルの契約が締結されたということになります。
今回その年俸を受け取るのは、来季からアリゾナ・ダイヤモンドバックスに移籍するザック・グレインキー投手です。
メジャーリーグ機構では、ここ数年で年俸3000万ドル以上の選手契約がどんどん出てきました。
以前イチロー選手が年俸1700万ドルで契約していたころは、2008年から2012年シーズンの5年間ですが2008年当時ではメジャーリーグ内で10傑に入る高額年俸選手でした。
それがここ数年で2倍近い年俸になります。
急激な上昇です。
今回のザック・グレインキー投手は先発投手。
メジャーリーグでは分業制が整っていて、先発投手がケガなく万全で任される1年間の先発出場機会が33試合か34試合。
1試合につき100球程度で交代です。
本人は年間3400万ドルですから、1試合あたり100万ドル。
100球で100万ドルですから、ボールだろうがストライクだろうが1球1万ドルの価値です。
現在の相場でいうと1球123万円になります。
さて、メジャーリーグのアリゾナダイヤモンドバックスですが、ヤンキースやレッドソックスのような人気球団でもありません。
去年の年俸総額が8800万ドルであり、同様の価値観でいうとザックグレインキー投手はたった一人で球団の年俸総額の3分の1以上を持っていくという計算です。
では、なぜこんな無謀とも思える年俸を払えるのでしょうか?
メジャーリーグの球場はとても広いですが、決して満員になるわけではありません。
入場料収入では決して賄いえません。
今回の巨額年俸の秘密は「放映権」です。
アメリカのメディアは日本と違い、ケーブルテレビ方式を用い、日本でいう「地上波放送」とは様相を違えています。
日本では関東・中京・関西圏の大型都市圏でも地上波はNHK2局を含めても合計7~8局です。
ほとんどのテレビ視聴者はこの中から選んで視聴しています。
しかしアメリカは完全に「自分の見たいテレビをお金を払って契約する」という形です。
いわゆる「ペイパービュー方式(視聴による支払い方式)」です。
現在日本の野球放送は、視聴率低下による「地上波放送の減少」が野球ファンの悲哀をもたらしていますが、アメリカでは「見たい人がお金を払ってみる」が徹底されており、さらにアメリカのみならず世界最高峰リーグということで、全世界からの視聴収入があります。
これがケーブルテレビ局の放映権の高まりを見せ、放送局側はそれを球団との複数年の放映権契約に結びつけているわけです。
日本の野球ファンからしてみたら、うらやましい様な話ですが、スポーツを娯楽だけでなく「文化」として根付かせようとするアメリカ社会のスポーツに対しての懐の深さを思い知らされますね。