松井選手のヤンキース一日契約

images5日本時間の未明に、先日国民栄誉賞を受賞した松井秀喜氏に対して、ニューヨーク・ヤンキースが1日契約を結び「ヤンキースの一員」として正式に引退することとなりました。

最近メジャーリーグではこのような契約がよく見られます。

アメリカのスポーツ界のように、頻繁にトレードのある世界はなかなか「フランチャイズプレーヤー(地元生え抜き選手)」というのがいません。

平均球団滞在は3~4年くらいが多いと思います。

たとえば、かのベーブ・ルースでも最初はボストン・レッドソックス、そしてヤンキースで大活躍しましたが、晩年はボルティモア・オリオールズに移籍します。

やはりフランチャイズ・プレーヤーになるには、チームのファンに愛され、さらにそれを納得させるために一定の成績を残さないといけません。

松井選手もしかり、ワールドシリーズでMVPを取った数か月後にはロサンゼルスへトレードです。

トレードが悪ではないアメリカの契約社会で、「フランチャイズ・プレーヤー」になることは本当に難しいことです。

フランチャイズ・プレーヤーはしっかりした成績を残さないと、チームに迷惑をかけ晩年を汚してしまいかねま

現在ニューヨークヤンキースではキャプテンのデレク・ジーター、抑えのマリアノ・リベラ投手がフランチャイズプレーヤーです。

マリアノ・リベラ投手は今年で引退を表明したものの、現在まで引退年とは思えないほどの好成績を残しています。

ニューヨークの貴公子「デレク・ジーター」選手ですが、そろそろチームも重荷になってきているのは否めません。

ただでさえ運動量の必要とするショートストップを守っているため、最近は守備指標もかなり悪くなっていますが、首脳陣は「ヤンキースのシンボル」をトレードできないのは当然のこと、外野に守備位置変更もはばかられます

そうなったら、ジーター選手本人から身を引いてもらわないと、なかなか難しいのが現実の所です。

イチロー選手もマリナーズの功績を鑑みると明らかに「マリナーズのフランチャイズ・プレーヤー」になりうる資格はあったと思いますが、自身の成績の低迷を考えると、晩年を汚したくなかったのでしょう。

あのままですとマリナーズもイチロー選手が重荷になっていたはずですので、イチロー選手自らが身を引いたことで、マリナーズ首脳陣もほっとしたところ、またファンもその潔さにスタンディング・オベーションで迎えました。

一流選手の「身の引き方」というのは本当に難しいものです。

落合選手のように「拾ってくれるところがあるならどこでもやりますよ」という最後まで貪欲な「職業野球人」を貫く美学もあれば、30本以上の本塁打を打ちながら「自分のバッティングができなくなった」とバットを置いた王貞治氏もいます。

日本人は桜のように「散り際は潔く」というのが昔からの美学であります。

松井選手はその道を選んだのでしょうね。

イチロー選手はその選手生命の終わりをどのように描くのでしょうか?

もう少し見届けられるチャンスはありそうです。