状況を変えるかもしれない一枚の写真

 

images今までの歴史の中で「世界を変える写真」という存在がいくつかありました。

ベトナム戦争下で、ベトナム人写真家フィン・コン・ウト氏に撮られた「ナパーム弾におびえる少女を映した戦争の恐怖」という写真は、アメリカ国内での反戦運動に大きな影響を与えました。

まただ二次世界大戦下で、中国国民党宣伝部によって撮られた「上海駅でたった一人で泣く赤ん坊」は、策略通り見事に「日本悪し」のイメージづけに成功、そして欧米諸国による「日本=悪」という図式が一気にできてしまいました。

「たった一枚の写真による情報での意識の変化」には、若干違和感をぬぐえない部分もありますが、今まさに新たな写真が世の中を動かそうとしています。

ここでの掲載は控えますが、「シリア難民の子ども(Aylan Kurdi君)の死体が、トルコの浜に打ち上げられている」というものです。

欧米諸国は基より、現在駐在しているバングラデシュのような発展途上国でも大きく報じられました。

たった一枚の写真ですがショッキングであり、またかなり胸を打つ写真です。

 

この写真一枚で、欧米諸国は一気に「難民受け入れ」の機運が高まっています。

また遠く、日本のような国にも「難民受け入れ緩和」を要請する声も出ています。

 

まさに「一枚の写真が世論を変えた」という写真になりそうです。

 

現在のシリア及びイラクの情勢は泥沼。

もともとフセイン元大統領の元で、それなりの安定化(抑圧されている人たちにとっては、許しがたい安定化だと思いますが)を持っていたイラクは、アメリカの「言いがかりによるイラク戦争」によりフセイン政権崩壊、抑圧されていた宗教派閥や民族派閥が力を持ちはじめ、内戦状態。
おまけに自国でのエネルギー確保に一定の目星がついたアメリカは、中東に情熱を失いはじめ、そそくさと撤兵で内戦状態。

シリアは、中東諸国で続いた「中東の春運動」の中で、アサド政権打倒の声が上がったものの、政権側も強硬に打って出て応戦。

さらに国内にISIS(自称イスラム国)が自然発生して、「政府軍」「反政府軍」「イスラム国」「クルド人」入り乱れての内戦状態。

この泥沼の中で苦しんでいるのは、子供たちであります。

 

この子供は、決して難民でもなく、移民でもありません。

ただ外で安全に遊びたかった3歳の子供なわけです。

 

情報によれば、ISIS(自称イスラム国)は一時、力が衰えたと言われましたが再び盛り返してきたようです。

完全な泥沼です。

しかし、このたった一枚の写真が現在、シリアやイラクの情況とは関係ない国で大きなうねりを見せています。

決して簡単な問題じゃありませんが、なんとか状況が好転してくれるように、切に望むしかありません。